Sunday, December 22, 2024 18:21

上原ひろみ ジャパンツアー 観戦報告

 久々の書き込みで何なんだが。。。
 みなさんは、最近ど肝を抜かれるような経験はおありだろうか?
 最高にナイスな、というレベルでは駄目なのだ。口あんぐりで立てなくなるくらいの驚きがないと、ど肝を抜かれるとは認められない。
 世界は素晴らしい音楽であふれているので、そういう経験のチャンスはまぁあるだろう。ただ、同じアーチストに毎回ど肝を抜かれる、というのはどうだろう。たいていは、二度目や三度目になると様子が分かるので、最高にナイスであったとしても口あんぐりで立てなくなることはなくなるものだ。
 しかし私は本日、同じアーチストに4年連続でど肝を抜かれてしまった。完敗だ。

 上原ひろみ。ジャズピアニストというより、ジャズピアノ拳法使いのファイターだ。ドレスではなく、道着でピアノに臨む。

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 今日は、青山のサントリーホールという知る人ぞ知るクラシックオーケストラが使うところでリサイタル、いや、バトルだ。いつもは3人や4人で戦いに挑むのだが、今日は個人戦。リングの上にはピアノが1台きり。しかもマイクが付いていない。素手で挑もうとしているというわけだ。

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 ポスターと同じピアノ鍵盤柄の道着で現われたファイターは、ホールが静まると頭をうなだれ、何かが降りてくるのを待つ。そして繰り出されたのは、超絶技巧でI've got rhythm。やりすぎで面白い。まだ1曲目なのに、ライブが終わった後のように終わらない拍手の波!でも、これは例年のことだ。ファイターは既に会場を虜にしてしまっている。
 その後は、世界の至る所で会得した奥義(曲)の披露。イタリア・アメリカ・スイス・フランス。。。フランスというより、あれはシュークリームの曲だ。食いしん坊にとって、シュークリームを食べる行為そのものが大冒険なのだ。近いうちに、ラーメンという名の荒れた大海原を制覇する海賊(バイキング)の曲も作っていただきたいものだ。
 休憩を挟み、お馴染み静岡茶畑から始まり、月の砂漠。。。あぁこの曲は!2ndアルバムの私のお気に入りのソロアレンジだ。もうここら辺から口は開きっぱなし。
 本編の最後はラスベガス3部作。3作目のTHE GAMBLER冒頭で、スロットマシンの音に見立てた演奏で我々を煽る煽る!多少の盛り上がりではスロットの目を揃えてくれない。そしてその後の音の洪水!やられた。驚きでもう立てない。
 
 アンコールには”居場所”という曲。漆黒の宇宙に浮かぶ星のようなスポットライトでの演奏。ファイターは修行の旅で世界を回る。今日の演奏を終えるとすぐに祖国を離れ、知らない地へ。ジャパンツアーは基本的に年末にしか行われない。次に我々が会えるとしたら、1年後になるのだろう。季節外れの織り姫と彦星。いや、私も含め多くの人は来年は織り姫には会えないかも知れない。人気のチケットは誰もが入手出来る訳ではないのだ。
 とにかく今年もど肝を抜かれた。今夜は興奮して眠れそうにない。

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